アジア側のカドゥキョイからベシクタシュへ。ボスポラス海峡を渡る定期船は20分をかけて対岸へと人を渡す。滞在中に何度も行き来したアジア側とヨーロッパ側。この路線に乗るのは今回が初めてだった。
すると、船の中に見知らぬドアが。これまで乗った船にはなかったものだ。開けてみると、小さなカフェテリアだった。チャイを飲む人。新聞を読む人。パンをかじる人。そうか、少し長い時間をかけて渡る船の中では、こうやってお茶やランチを済ませるんだと気がついた。私もチャイを買って知らぬ女性の前に座ってみる。
10分を過ぎた頃だろうか。ずっと外を眺めていた女性が急に私のほうを向いて「You can see dolphins!」と言った。ボスポラス海峡に住むイルカ。言わなければ気がつかなかった。ありがとう。
船で対岸へ渡る日常。そんな日々が、ここにはある。少しだけ、この街に住んでいる気になった。幸福な錯覚は私をどこへ連れて行ってくれるのだろうか、と考えた。
The ship will go to Beşiktaş from Kadıköy at Asian side. Everyday, people cross to the other side by boat. There are those days like that. I feel like I'm living in this town a little
bit. I wonder where such happy illusion
takes me.